元お笑い芸人がWeb業界に入ってがんばるお噺

元お笑い芸人がコミュニケーション/マーケティング/UX/仕事観/Web制作などについて書くブログなのです👺

マーケティングが得意なWeb制作会社は営業以外も会社の価値を理解すべき

先日久々にブログを書いたところたくさんの賛否両論コメントをいただきびびったみやしたんくです。
その節はみなさまありがとうございました。大変励みになりました!今後はどんどんブログ書いていきまっせ~!
…と言いながらすでに前回のブログから2ヶ月経ってしまっているというね。toksatoさんに怒られちゃいましたよ!ごめんて!

さて許してもらえたところで本日はtoksatoさんとの交換日記第二弾です。
交換日記についてはこちらtoksatoさんが書いてくれた記事で詳細を説明しているのでよろしければご覧ください。 toksato.hatenablog.com

toksatoさんが「なかのひと」になってからtoksatoさんと飲みにいったりメッセンジャーだったりで受託の制作会社との違いという話をたくさんしました。
そんな中で自分たちの会社の強みとか価値をすごく考えているときに思ったことをまとめてみました。
やや煽ったタイトルですが、煽られないでください。お願いします。

でははりきってどーぞー

Web制作会社で働くとスキルアップが求められる

f:id:miyashitank:20170605013518j:plain Web制作会社というのは何の因果かかなり個人の成長を求められます。なにせテクノロジーの進化が早いのでついていくために勉強もしなければいけませんし、Web制作会社が行う多くのプロジェクトはほぼ完全にオーダーメイドのため、その都度様々な能力を求められます。 (そうじゃない会社もあるのだろうけど)

Web制作会社にとっての財産は完全に人です。
人のスキルとそれによって出来た成果物を売っている仕事です。もちろん特定の人が辞めたらつぶれてしまう!なんてことにはならない(なったらそれは組織として破綻してる)でしょうが、やっぱり会社としては個人のスキルアップは非常に重要です。

巷にはWeb制作に関するスキルの記事は山ほどあります。ディレクションだったり、デザインだったり、コーディングだったり、それぞれに特化したブログを書いている人もたくさんいます。
それだけ世の中のWebに関わる人間はスキルアップを求められているのです。

個人にとっても自分のスキルアップは非常に重要なことです。単純に言えばスキルアップをし、それによって任せられる仕事が増え、成果を上げればよっぽどのブラック企業でなければ給料が上がります。さらに自分が今在籍している会社でだけでなく、転職する際だってスキルが高ければより自分の選択肢が増えるでしょう。
しかし、Web製作会社で働く上でとても重要なのにあまり取りざたされないことがあります。

それは「会社自体の売り物やその価値を具体的に理解すること」です。

営業以外のメンバーも会社の価値を理解すべき

早速今日の本題です。
あくまでぼくの定性的なイメージですが、自分のスキルアップに興味がある人は世の中にたくさんいます。しかし会社の売り物やその価値を理解することのプライオリティは全体的に低い傾向にあると感じています。

クライアントは何かしら理由があって自分の会社を選んだり、他社を選んだりしています。

みなさんは、なぜ自分の会社が選ばれているのか、そして選ばれていないのかを、理解しているでしょうか。

「営業さんが感じがいいから」とか「有名だから」とか「安いから」という制作にあまり関係ない(けれど重要な)理由であまり考えずに発注してしまうクライアントもいるかもしれません。

しかし新規の制作会社を探すクライアントのほとんどが複数社に提案をうけ比較検討した上で製作会社を選定します。例えばそんな制作会社を探しているクライアントに「他社との違いはなんですか?」と聞かれた時ににモゴモゴせずに回答出来るでしょうか。

「いやいやそれは私の仕事ではなく、営業やプロデューサーの仕事だよ!」

わかります。気持ちは重々わかります。そしてぼくは今の会社でプロデューサーなので、あまり全員が営業的な仕事ができてしまうと、居場所がなくなってしまい席が窓際になってしまいます。
実際にクライアントにプレゼンする力をつけなさいということではないんです。理解をしているかということが重要なのです。

自分たちの会社の売り物や価値を理解していないという状態を、逆の立場になってみて考えてみましょう。

売り物を理解していないドーナツ屋さん

f:id:miyashitank:20170605011823j:plain 例えばあなたが「オーガニックでおいしい!」という看板が出ているドーナツ屋さんを見つけて入ったとしましょう。
しかしドーナツの見た目は普段食べているミスタードーナツと違いがありません。
そこで店員さんに、「このドーナツはミスタードーナツと具体的にどう違うんですか?」と聞いてみました。
すると店員さんからこんな言葉がかえってきました。

「えーと…まあとにかくオーガニック?なんですよ。マジで。マジ自然?のやつなんすよ。なんか無農薬?みたいな。すげーうまいんすよ。…ウケるっすよね」

嫌じゃないですか?ミスタードーナツ行っちゃいません?ポン・デ・リング食べちゃいません? (ぼくはオールドファッションとポン・デ・黒糖をいつも買います)

「いやだからぁ私たちはぁ!店員(営業とかプロデューサー)じゃなくて、厨房でドーナツを作ってる人(デザイナーやエンジニア)だから!」

はいそうですよね。でもよく考えてください。

店員さんより厨房の人がこの調子だとなおさら不信感ありせんか?

だってなにがオーガニックなのかよくわからずにドーナツ作ってるんですよ。「ウケるっすよね。」じゃあないんだよ。黙りなさいよ。

いや最悪ね、ドーナツですから。いっても200円とか300円なんで買ってみて美味しければ良いんですよ。

「店員さんも厨房の人もすげーバカだったけどドーナツはおいしいね。また買いに来よう!~HAPPY END~」

ですよ。

しかしこれが一個3,000円のドーナツだったらどうでしょうか。よっぽど変わった人かyoutuberじゃないと買いませんし、買った上で不味かったらもう二度と買いませんよね。

Web制作会社の仕事は少なくとも数十万~数千万、億単位のプロジェクトだってあります。
ましてや受託のWeb制作会社が売っているものの多くはドーナツ屋さんのように商品をショーケースに並べて選ぶものではありません。他サイトの雰囲気や機能を参考にすることはあっても、まったく同じものを作ることはほぼなく、オーダーメイドなケースが多いです。
ドーナツ屋さんでさえ売り物を理解していないと不信感を抱かれるというのに、そんな高額でオーダーメイドの商品を売っている我々Web制作会社が売り物を理解することが重要でないと言えるでしょうか。

Web制作会社たくさんありすぎて実績で選べない

そこで売り物を語る上でよく使われるのが制作実績です。前述したとおりオーダーメイドかつ商品が手に取れるものではないので、実際の納品物をイメージしてもらうには一番わかりやすいものです。
しかしWeb制作会社は競合もとても多いです。ドーナツ屋さんであればその地域に数件程度でしょう。

全国Web制作会社リスト オンラインデータベース

このマイナビさんが運営しているWeb制作会社データベース(なんで見た目こんななんだろ。。?)によると東京都だけで779件ほどが登録されていました。登録していない会社も当然あるので、1000以上はあるのではないでしょうか。1000件の会社が各社実績を公開していることでしょう。似たような実績がある会社もあると思います。
そんな中実績で本当にその会社の売り物は理解してもらえているのでしょうか。

とは言えすべてのWeb制作会社が完璧に競合するわけではありません。なぜなら各社得意分野があり結果差別化をして住み分けているからです。
わかりやすい図をベイジ枌谷さんが書いてくれていますので引用させていただきます。

baigie.me とても考えさせられる記事です。このブログを書いてる時に公開されたので、何回も読みましたw
この文中の【Web製作会社における事業展開の方向性】という図です。

https://baigie.me/sogitani/wp-content/uploads/webpro011.png ※引用元:なぜ私たちは「web制作会社」という古臭くてダサい肩書を使うのか? | ベイジの社長ブログ

まず横方向の分野の拡大というのは見ての通りですね。Webサイトだけでなく、アプリ、ゲーム、IoTなどの水平の広がりをしていっているパターンです。
今まで存在しなかったテクノロジーの影響で新しい市場が生まれ、その市場で制作を行います。
売り物を語るとしたら実績がほぼすべてでしょう。アプリだったら今までどんなアプリをつくったのか、どのくらいダウンロードされているのか、なんてところがわかりやすくクライアントに価値を伝えられる内容だと思います。
(まあ昨今アプリ業界もそんな単純じゃないのかもですが) つぎは縦方向の業務領域の拡大です。デザイン、フロントエンド、サーバーサイドとかはわかりやすいところですよね。こういった会社もやはり実績がわかりやすい売り物の見せ方になるでしょう。

難しいのはベイジさんと同様「ビジネスへの貢献」つまりマーケティング領域を得意分野としている会社です。

マーケティングが得意!ってちゃんと伝えられている?

f:id:miyashitank:20170605014614j:plain クライアントはWebのプロでないのは当然ですが、マーケティングのプロでもないケースがほとんどです。そもそもマーケティングというのもの重要性を本質的に理解してもらうところからはじまるなんていうことも少なくないのが正直なところです。(ぼくが本質的に理解しているのか?ということは置いておきます)

この領域は全く同じプロセスを踏んで同じような成果物を作っても同じ価値にはなりません。例えばデザインであれば、「このサイトと同じデザインを作ってください。」と言われれば作れるでしょうし(やらないけど)、結果クライアントはOKを出すでしょう。
しかしこれが「ビジネスに貢献する」ということだとそうは行きません。過去実績でやったことと同じプロセスを踏んで同じ成果物を作ってもそれでビジネスに貢献できるかは約束できないからです。

レイヤーが違うのでどちらが良いとか悪いとかいう話ではなく、クライアントの「ビジネスに貢献する」というのはそれだけ難易度が高いということです。

もちろん実際に成果を出した実績があればそれはとても大きいアピールポイントになります。ただ受託のビジネスではリニューアルや新規でサイトをつくって付き合いが終わってしまったり、サイト以外の要因で成果が思うように上がらなかったりと実績としてアピールしずらいケースもあるのではないのでしょうか。その実績にも再現性があるかどうかというところもクライアント側からすると判断が難しいところです。

やはり実績だけではなく、別の何かでの説明が確実に必要なジャンルなのです

みんなが語れるようにするという言語化もそのひとつの手段でしかありませんが、非常に重要なことだと感じています。

みんなで語ろう会社の価値

f:id:miyashitank:20170605013205j:plain ここで言う言語化とは、クライアントに説明して「なるほどだったらここに頼んでみようかな」や、逆に「ここはうちが求めていることとちょっと違うな」とわかってもらえるかつ、社員が説明できる言葉にするということです。これは当然マーケティングが得意な会社に1つ絶対の正解があるわけではなく、各社が模索しなければいけないことです。

特にデザイナーさんやエンジニアさんは何となくですが、「マーケティングとかよく分からんし」とか「何となく苦手」という方も多いとは思います。そもそもそういうビジネスレイヤーにあんまり興味がない人も結構いますよね。
如何にイケてるデザインをつくるか、如何にイケてるコードを書くかってことを突き詰めることが好きって人が多いイメージです。

もちろん何かに特化してスキルを伸ばすことはとっても素晴らしいことです。しかし、ことマーケティングが得意な会社に所属している場合、それはまるでオーガニックが売りのドーナツ屋さんが、ミスドでもよくね?」って言ってるようなものだと思うんです。いや美味しいんですよミスドは。

会社のメンバー全員がマーケティングの知識をもっている必要はありません。それは役割分担なので営業やプロデューサーがやればいいことです。
会社の売り物を理解するということは、なぜ自分たちが選ばれているのか、そして継続して選ばれ続けるために、もっと選ばれるためにこの会社はなにをしているのかを理解するということです。
どんな会社でも必ず選ばれている理由はあります。そして選ばれ続けるために何かしら考えている人が必ずいます。それを教えてもらえばいいのです。

例えばぼくらプロデューサーです。プロデューサーや営業は社内メンバーにこういうことを伝えていくべきではないかと思うのです。自分たちの会社の価値を内部に啓蒙することも重要な業務なのではないかと思うのです。もちろん自分の営業としての仕事もあるので、自分で発信して伝えることだけでなく、組織の仕組みとしてあればベストなのではないでしょうか。

と、自分も下っ端なのに煽るようなことを描いてしまいましたが責任はぼくらだけにあるわけではありません!
経営者やマネジメントをするメンバーの責任でももちろんあります。

部下に経営者目線を持ってほしいと思う経営者、マネジメントの方は多いと思います。であればちゃんと自社の強みを言語化してメンバーにも伝えましょう。 なぜ我々が選ばれてきたのか、そしてこれからはどう選ばれていくつもりのか、ぜひ語って欲しいのです。

少なくともぼくはそういう会社で働きたいと思います。


2017/06/22 追記

toksatoさんのアンサー記事公開!

toksato.hatenablog.com