元お笑い芸人がWeb業界に入ってがんばるお噺

元お笑い芸人がコミュニケーション/マーケティング/UX/仕事観/Web制作などについて書くブログなのです👺

Web制作の上流とビジネスの上流は必ずしもイコールではない

f:id:miyashitank:20190323004308p:plain

最近自社で採用の面接とか面談にも参加するようになりました。
ぼくたちのチームはデジタルマーケティングを受託で行う部署の中の制作チームなのですが、基本的にはディレクターやプロデューサーという職種で募集をしています。
いわゆる手を動かしてビジュアルがつくれる、コーディングとかができるという実際に作る人ではなく、提案したりプロジェクトマネジメントする人を募集しています。(といってもデザインとかコーディングできる人もほしいので連絡まってます)

面接をしてて思ったのが、こういう人が多いなということです。

  • 今は小規模~中規模のWeb制作会社で働いていて
  • 「つくるだけ」になってしまっているから
  • もっと「上流」からやれるようになりたい

という人いっぱいいる。いっぱいいる。私も!って思ったあなたにニュースです。
上流からやりたいというのがどういうことか、どうすれば上流に関われるのかイメージできてない人結構います!
今日はそんな人に捧げるブログです。よろしくっす。

中小規模のWeb制作会社にいる人上流工程やりたくて転職するというのはあるある

自分もそうだったんですけど、中小規模のWeb制作会社から転職するディレクターやプロデューサー的な役割のお人はたいがい「上流工程から関わりたい」「つくるだけで終わりたくない」という思いがあるような気がします。

たしかに、もっとビジネスに貢献できるようになりたいという思いは非常にわかります。ぼくも20人規模の制作会社から今の会社に転職するときは同じようなニュアンスのことを言っていましたし、今もその気持ちは変わってないです。
単純にカッコいいものを作りたいとかではなく、成果がでるものを作りたいんですよね。

これもWeb制作会社あるあるなんですが、単発の案件で納品したあとそのサイトがどういう成果を出してるのかは知らない、というのは本当に多い気がします。
別にそれ自体はビジネスモデルの問題だったりするので悪いことではありません。今後はそういう会社が淘汰される!みたいな意見もあるかもですがまあそれは置いておきます。

上流からやりたいというのはビジネスの上流から関わりたいということ

しかし「上流工程からやりたい」「つくるだけで終わりたくない」という人は、具体的にどんなことがやりたいのか言語化できていない人も多いです。 例えば前回のブログで書いたようなマーケティングの仕事をしたい、という人であればそれは「ビジネスのプロセスに関われること」が重要なわけです。

miyashitank.hatenablog.jp

確かに制作会社でもデザインとコーディングだけやっている案件でれあれば、どんなサイト構成なのか、どんなコンテンツなのか、どんなUIなのかなどが決まったものをデザインやコーディングするということになります。
つまりクライアントなり、代理店なりがそこを考えるということです。
そうなると本質的なことができてないんじゃないか、自分もそこを考える人になりたいというのはまあ自然なことだと思います。

f:id:miyashitank:20190323001157j:plain

こんな感じで制作の上流がマーケティング的なこととつながっている状態というのをイメージして、上流から関わりたいと思っているのですが、悲しいことに制作の上流だからといって必ずしもマーケティング的なお仕事ができるとは限らないのです。

プロセスが分解・整理されて施策までおちている会社はまれ

もちろんビジネスの上流工程である経営戦略的やマーケティング戦略を踏まえて、Webサイトもあるべきではあります。
が、Webマーケティングに限らずそもそもそんなしっかり戦略やプロセスが明確になっていて現場までおちていて、施策にひもづいているということは難易度が高いことなんだと思います。戦略がないわけではないとは思うのですが(ある風なだけで無いこともあるけど)。

行き当たりばったりとまではいきませんが、目の前のやらなければならないこと、売上をあげなきゃいけない、なんていう視点での施策が多いのが現実ではないでしょうか。そうなると、当然その施策の上流工程は本質的でないものになってしまいます。いやまあいいんですよ本質的かどうかはともかく会社としては成果がでれば。

ここからは想像も入っていますが、マーケティング戦略が優れてる!という世の中の事例も半分くらいは最初から細かい戦略があったり、現場までそれが浸透していたかというとそんなことは無いんじゃないかなと思います。やってみて上手く言ったから後から言語化してるとこぜったいある。ぜったいそう。みんなそんな賢いわけない(失礼)。

UXデザインをする範疇の違い

あとWeb施策の上流工程としてよくあるのがみんな大好きUXデザインというやつ。
これもまたUXデザインやります=ビジネスの上流に関われる、かというと必ずしもそうとは言いきれません。
これはUXデザインが広義すぎるのもあるのですが、何を材料にして「デザイン」(単純な見た目だけでない広義の方)するかで、インプットが必要なものは当然変わってきます。
ぶっちゃけWebサイトの改修や新規作成で必要とされる(発注される)UXデザインは、たいていが情報設計の範疇を出ないと思います。 べつにUI設計やデザインのロジックを決めるために必要な情報を集めるたり整理することがUXデザインではない!ということではなく、その範囲のUXデザインはビジネスの上流にそこまで深く関われない可能性があるということです。

クライアントのリテラシーに依存する

さらにクライアントが全員マーケティング的なことを理解しているわけではありません。
あくまで担当している商品の担当であって、マーケティングは門外漢という担当者もたくさんいます。さきほどの図の流れが必要であるということを理解してくれない担当者では、受託としてそこを支援するのも難しいでしょう。なんせ必要だと思ってないんだから。

受託&マーケティングのプロであればそういうクライアントにしっかり啓蒙すること自体はスキルとして可能でしょうが、そもそも必要だと思われていない、あるいはそういう「上流」をこの会社なら任せられると思われていないと難しいんじゃないかと思います。(最初からそう思ってもらうのは難しいことですが)

制作の上流工程よりそのビジネスにどう関われるかの方が重要なのかも

という感じで受託のビジネスでクライアントのビジネスの上流工程に関わるのはなかなか難易度が高いです。
そして上流工程に関わりたい=マーケティングの仕事をしたいぼくたちは、上流かどうかというよりも成果を出したいわけです。
だったらWeb制作だとしても納品した後に成果を見て改善していくなど、どんどんトライ&エラーができるということの方にフォーカスするべきなのかもしれません。その過程でちゃんとビジネスの上流にも触れる、というのが自然な形のような気もします。

受託のWeb制作はなかなかトライ&エラーが許される関わり方ができていないと思います。
クライアントとトライ&エラーを一緒にできるようにする、ということを目指すのであれば上流工程かどうかというよりも、 * マーケティングにはトライ&エラーが必要なことを理解してもらう * なおかつ伴走できるように信頼してもらう * そのためのスキルをのばしたり、サービスを考える ということの方が重要なのかもしれません。
みんなでがんばりましょ。ね!(変な終わりかた)